隼號まとめ本サンプル

ネオゲ隼號R18

隼號まとめ本の仕様、書き下ろしのサンプルです!
タイトルは『24時間年中夢中』で、収録数は9本、これまで公開したお話8本と、書き下ろし1本となっております。おまけでしおりがつきます。
書き下ろしは『永遠とわに見つめて』でR18、約2万文字(ギリ届かない程度)。

【仕様】
A6文庫サイズ、カバーなし/表紙除き266P(お話ごとに中扉と注意書きがあり、左頁はじまりのため、事務ページ多めです)/41文字×16行/源暎こぶり明朝8.5pt/本にするにあたって空行を詰めたり漢字のひらき具合を統一したり、文意が変わらぬ程度に軽微な修正を施している部分があります
・頒布価格は800円を予定しております
・文字組サンプル画像はBOOTHかpixivで見ていただいたほうがくっきりわかると思います
・BOOTHは通販準備が整い次第、公開いたします
・今月中旬くらいから通販はできると思います

【文字組】

◆◆◆

永遠とわに見つめて』

◆本編終了後、同棲しています。號君がネーサーに来て一年以上経っている設定。同棲を始めて二箇月ほど。隼人がサングラスをよくかけているのは目が悪いからだと知った號君のお話。約2万文字。サンプルは冒頭と中盤部分少々で約7,000文字ちょい。すけべは導入部分まで。

 一

 翔と剴が顔を見合わせる。
 困ったような表情と言い淀む口元のふたりを見て、號は「しまった」と思った。
「あー、えーと」
 痒くもないのに鼻の頭をかき、視線を外す。それでもふたりからの答えはなかった。
 気まずい。沈黙が続く気配に耐え切れず、號は首を横に振って「あ゛ー」とがなった。
「言えねえんなら仕方ねえ。あれだ、トップシークレットってやつだろ。何せ神さんだからな」
 至って軽く言い流したつもりだった。だが頬がうまく上がらず、號にしてみれば出来の悪い笑顔になってしまった。
 いつも朗らかな剴の眉が心配そうに下がる。だから號はなおさら、
「ああ、気にすんなって」
 と、無理やり笑顔を浮かべた。
「ま、事情はいろいろあるわな」
 何でもない、とばかりに右手をひらひらとさせて踵を返す。なるべく足早に遠ざかろうとするその背中に、
「待て」
 翔の落ち着いた声が投げかけられた。

「もう知っていると思っていた」
 翔が言えば、
「そうそう。だって一緒に住んでるんだしよ」
 と、剴が続けた。
「んなこと言ったって」
 號は唇を尖らせる。
「聞いてねえもんは聞いてねえ」
 不満そうに言い捨て、缶ジュースをぐいっとあおった。
 三人は倉庫に近い小さな休憩スペースに腰を落ち着けた。奥まった場所にあり、静かで、ちょっとした穴場だった。ひとりでぼんやりしたり、あまり他人ひとに聞かれたくない話をするにはうってつけだった。
「私たちや大佐に近い人たちは皆知っているから、別に隠していたわけではないと思う。単に、改めて説明するタイミングを逃していただけじゃないのか」
 いちごオレの紙パックを手にした翔が口にする。
「……だからよ、昨日今日俺がネーサーここに来たんならそれもわかるけどよ。もう一年以上経ってるじゃねえか」
 その間に、世界には平和が訪れ、號は隼人という恋人を得て——同棲を始めてもうすぐ二箇月が経とうとしていた。
「でも、毎日やることてんこ盛りで忙しかったろ。本当に落ち着いてきたのだって、ようやくここ二、三箇月じゃないか。神大佐にしたら、どうしたって後回しになるんじゃないのか」
「剴の言ってることはわかるけどよ」
 恐竜帝国との闘いが終わって安心したのも束の間、隼人に落ち着く暇はなかった。残党への警戒、早乙女研究所の修繕、ネーサーの立て直しと今後に向けての組織の再編成、ゲッターロボの修理と調査、その他諸々。政府のしつこい横槍をなだめ、かわしながらの日々は相当骨が折れただろう。その甲斐あってか、最近ようやく物事がスムーズに回り始めていた。
 だからこそ、同棲も可能になったのだ。
「わかるけど、みんなが当然のように知ってることを俺だけが知らないってのが……何つーか、ちょっと」
 號がむくれる。すぐに感情が出るところはちっとも変わっていなかった。翔が微笑する。
「もしかしたら、大佐なりの気遣いなのかもな」
「何でだよ」
「寂しいんだろ。わかるぜ」
 剴の太い腕が號の肩に回された。
「だっ……べ、別、に。俺はただ」
「ただ?」
「……正直、仲間外れにされた……みたいで」
 口を尖らせながらも、號の頬にうっすらと赤みが差す。剴の言う通り、寂しいというのが一番の本音だった。気心がすっかり知れた関係とはいえ、見透かされてしまったのが恥ずかしくて、號はぷいと横を向いた。
 翔が続ける。
「お前に言ったら、お前が大佐に気を遣う」
「俺が? 神さんに?」
「ああ。そう思われたのかもな」
 號は思い切り怪訝な顔をして、首を傾げた。
 隼人がサングラスをかけている理由——。
 晴れた日の屋外だけでならきっと気にも留めなかった。出会ったあの夜は、身を潜めていたからと思えば納得する。しかしネーサーの建物内でもかけていることがままあったし、それとなく見ていると、時間帯や場所に関係なく数日間ほとんどつけっぱなし、というときもあった。
 帰宅後もサングラス、ということはさすがになかったが、それでもパソコンを使うときや書類に目を通すときは薄いカラーレンズが入った眼鏡をかけている日があった。
 気にはなったが、眩しさの回避と疲労軽減のためだろう、という一般的な推測までしかできなかった。ふたりきりのときに訊こうともしたけれど、隼人から言い出さないものをつついていいのだろうか、と急に考えてしまい、何となく切り出せなくなって時間だけが経ってしまった。だからなるべく軽く、翔と剴に訊ねてみたのだった。
 それが、密談のようなティー・タイムになってしまった。
「本当は、大佐から話してもらうのがいいのだろうが」
 翔が紙パックをテーブルに置く。
「実際には周知のことなのだから、私から話しても問題はないだろう」
 いつの間にか微笑みは真剣な眼差しに切り替わっていた。翔の視線に、號は思わず背筋を伸ばす。
「……大佐は、目が悪いんだ」
「え。けど」
「度重なる戦闘とこれまでの研究の影響だ」
「ケガしたのか」
「いや、原因は光だ」
「光ぃ?」
 號の声には「それだけで?」という響きが滲んでいた。
「——いや、確かにドンパチやってりゃあ眩しいけどよ」
「號。いくらガードをしていても、爆発やビームの凄まじい閃光を間近で何百、何千と受けてみろ」
「……あ」
 当然、ヘルメットのバイザーやコックピットのウインドウには相応の対策が施されている。しかし、闘いは待ったなしだ。生身での戦闘、機体の破損、それらが幾度も繰り返される。人体に影響がないはずがない。
「強い光は、網膜を火傷させる」
「……」
「それに、ゲッター線の研究、プラズマエネルギーの研究、ネオゲッターロボの建造過程でも強力な光エネルギーは発生していたはずだ。大佐は誰よりも長い時間、膨大な光エネルギーにさらされていた」
「……だから」
 翔が頷く。
「日光は刺激が強過ぎる。なるべく強い日差しや明る過ぎる照明は避けているとのことだ」
「それでか」
 合点がいく。
「だったら、なるべくサングラスしてりゃ大丈夫ってことだろ」
 闘いは終わった。仮に有事があっても、前線に出るのは號たちだ。一方で、ネーサー内では有用エネルギー源の研究は続いている。その過程で発生する光エネルギーに関しては、目に入る光量を絞ればそれほど問題にはならないだろう。
 しかし翔はそこで口を引き結んだ。
「翔?」
「……わからない」
 ふ、と翔の視線がテーブルに落ちる。
「時折、サングラスをかけっぱなしにしているときがあるだろう?」
「あ、ああ」
「痛むのではないかと——思う」
 自身がその痛みを感じているかのように翔の目が歪んだ。
「つらそうにされているところは見たことがない。けれども、いくら強靭であっても人間の身体は複雑で敏感だ。年中同じ調子でいられるはずがない」
 號は隼人の身体に浮かび上がる傷痕や口元から滴る赤い血を思い出す。内臓に至るまで、無傷のところはないのだ。
「室内の蛍光灯やモニタの光ですら、刺激になっている日もあるのではないか。大佐はご自分のことは二の次だから、いちいち言い出さないだけで——」
 翔の言葉に、號は天井を見上げる。蛍光灯の光が飛び込んできて瞳の奥が眩しさにキュッと押される。視線を外しても、まだ明るさの輪郭が目に残っていた。太陽の場合は一瞬だけであってももっと残像が残る。飛行訓練の際には太陽を直視するなと口酸っぱく注意されていたのだから、同じほどにまばゆい閃光の衝撃は考えるまでもない。
「網膜のダメージは相当だろう。視神経にもかなり負担がかかっていると思う。部位的に自然治癒は望めない。ゲッター線の人体への影響も定かではないし……今後、悪くなっていくことはあっても、きっとよくはならない」
「悪くなっていくって」
「最悪、失明」
「————」
 ヒュッと冷たいものが號の背中を流れ落ちていった。
「失…………明……」
 目を見開き、固まる。
 声が途切れた休憩スペースに、自動販売機のブーンとした低い機械音が響いた。
 號はぎこちなく首を動かし、顔を隣に向ける。剴は神妙そうに、どこか哀しげに、黙って號を見つめ返した。
「……必ずというわけではない。だが、視力は年月とともに弱っていくだろう。進行の度合いによってはいつか、目が見えなくなるかもしれない」
 翔の説明に、號はそれ以上、何も言えなかった。まるで自分が失明の宣告を受けたかのような——いや、それよりももっと大きな衝撃を感じていた。

   †   †   †

 翔が言っていた。
「私たちは三人揃っているし、五体満足だ」
 それはゲッターロボがあってこそで、あらゆる人たちの尽力があってこそだったし、號・翔・剴の三人だったからこそだ。
 わかっていた。
 けれども、本当にはわかっていなかったのだと號は思った。
 闘い自体は比べられる類のものではない。しかし隼人たちの出撃回数は號たちよりも多かったし、敵の数も尋常ではなかった。月日も長く要した。その分、肉体と精神にかかる負担は大きい。
 それに、と號は翔と剴の顔を思い浮かべる。大切な仲間だ。
 隼人は——心を合わせ、ともに闘った仲間のうち、ひとりを永遠に失って、もうひとりとは歩む道を別にし、自身はもう、ゲッターのパイロットとしては闘えない身体になった。自分たちは、先のパイロットたちの死闘があったからこそ、今ここに生きていられる。皆が流した血の上に立っているのだ。
 隼人はきっと「犠牲」という言葉を嫌うだろう。自分が犠牲になったとは思っていないだろうし、そう思われるのも嫌に違いない。號がそうなのだから。
 だが。
 號は浴槽の中で膝を抱える。ゆらゆらと揺れる水面を見つめる。
 到底、拾い切れない。それでも、隼人の心を思う。
 自分は、隼人に会って救われた。ゲッターロボに乗って恐竜帝国を倒し、きっと一生、決着をつけられずに抱えていくだろうと思っていた気持ちに区切りをつけることができた。過去は変わらないし、自分を救えるのは自分自身だけだ。だが確かに、隼人に会って救われた。
 今、隼人は安らげているだろうか。ようやく真に平和が戻って——もちろん、あれやこれや問題は出てくるけれども——新しい道を進み始めている中で、常に失明の気配が背中に張りついているとしたら。
「俺だったら……神さんの顔が見られなくなるの、嫌だな……」
 誰だって、そうだ。当たり前にあったものが突然に奪われたら苦しい。少しずつ奪われていくのだって、その分、長く苦しむ。
 でも、避けられない未来なのだとしたら。
 自分には何ができるのだろうか。
 湯船から湯気が立ちのぼっていく。號の視線はゆっくりと湯気を追いかける。天井に溜まっては揺れ動いている湯気を、號はぼんやりと眺めていた。

 水気の残る髪を拭きながらリビングの戸を開ける。
「神さん?」
 返事はない。テレビも消されている。まだ片付けないといけない書類があると言っていたから、きっと書斎に引きこもったのだろう。
「……」
 ゆっくりと室内を見回す。
 エアコンも、テレビも、ソファも。ダイニングテーブルも、食器棚も、冷蔵庫も。そもそも、この家も生活も。
 何もかも、隼人が用意してくれたものだ。號が「俺だって給料もらってるし」と金を出そうとしても、
「使う暇がなくて貯まる一方だったんだ。気にするな」
 と、断られる。文句を言えば、
「いざというときは頼らせてもらうから、貯金しておけ」
 と、躱されるのだった。
「……俺、もらってばっかだな」
 號は小さく苦笑いをした。
 冷蔵庫から牛乳を取り出し、食器棚からコップを取る。ふと、もう一段上の棚に目をやった。色違いで同じデザインのマグカップがふたつ、並んでいた。「これぐらいは俺に買わせろよ」と言って、號が買ったものだった。
 隼人のマグカップがある。部屋にコーヒーを持ち込まなかったということだ。
 時計を確認する。夕食から二時間近く経っている。ひと息入れるのにはいい頃合いだろう。
 マグカップを手にする。
 それなら持っていってあげよう。徹夜ではないはずだから、普段より少し薄めに。もちろん、ブラックで。
 自然と気持ちが動いて、行動に繋がっていく。隼人との暮らしが自分の生活でもあるという証だった。
 隼人のために何かできるのは嬉しい。牛乳を飲み干した號の口角が、ようやくにっこりと上がった。

〈中略〉

 二

 リモコンを取り上げられた隼人が號を見る。號は何やら言いたげな顔をしていた。
「何だ、トイレか」
 ムードもへったくれもなく問うと號は一瞬きょとんとし、「違えよ」と苦笑いした。
「もっとマシなこと」
 言いながら、リモコンを隼人から遠ざける。
「マシなこと?」
「へへ」
 今度は照れくさそうに笑う。鼻の頭に小さなシワが寄る。無邪気さが溢れる仕種に、自然と隼人の目が細くなった。
「今日は消さなくていい」
「——」
 細められた目が、今度は見開かれる。
「……いいのか?」
 隼人にしては戸惑った声音で問う。それが自分への気遣いからだとわかるからこそ、號は意思を示すためにきっぱりとした口調で「おう」と言い切った。
 隼人の眼差しが再び和らぐ。右手が號の頬に伸びる。
「どういう風の吹き回しだ」
「ちょっとした心境の変化ってやつ」
 號は大きな手のひらに頬をすりつける。
 初めての夜は緊張と恥ずかしさでいっぱいになり、明かりを落とすかと問われて一も二もなく頷いた。二度目、三度目も同じだった。以来、行為のときには隼人は決まって照明を落とすようになっていた。
 まったくの暗闇ではない。常夜灯の明るさはある。互いの顔も見えるし、何をしているかもわかる。それで特段の不都合はなかったし、薄暗さがもたらす特有のムードも心地よかった。だからリラックスできるようになってきた今でも、隼人が作ってくれる雰囲気をそのまま受け取っていた。
 それを今夜は変えようとしていた。
「その、神さんさえよければ、だけど」
 號が訊ねる。
「もちろん」
 隼人が頷く。
「お前の顔が、よく見える」
 ささやきに、號の顔が赤くなっていく。
 たったこれだけのやりとりで、號の中にはもう消せない熱が生まれていた。

「何かやっぱちょっと……恥ずかしいな」
 上目遣いで隼人をちらりと見たあとで、號が睫毛を伏せる。
 ふたりで暮らしていれば下着一枚の姿など珍しくもない。何なら一緒に風呂に入ったこともある。
 けれどもそれとこれとは別である。
 煌々とした明かりに照らされ、しかもベッドの上となると、却ってその内に秘められた欲が強調され、生々しさを感じさせる。
 現に、膨らみの先端がじわり・・・と濡れてきて、徐々に迫り上がってくる號の興奮が見て取れた。ぱかりと開いた腿が微かに震えている。かといって、暗くする選択肢はなかった。
「ん」
 隼人の指が首に触れ、下りていく。號の顎先がわずかに上がり、閉じられていた唇が柔く開いた。
「ん、あ」
 声がまだ乾いているのは、緊張しているからだろう。隼人は一音も聞き漏らすまいと顔を寄せる。気配に號の目が開き、ふたりの視線が交わった。
「あ……、ん」
 指先が號の胸の筋肉をなぞる。ぞわりとした感覚が皮膚の下を走って、號の眉根をきゅっとよじらせる。その表情は隼人の感情をかき混ぜて、揺さぶる。
「號」
 自然に零れる。名前を呼ばれると操られるかのように號の唇が開き、隼人の口づけを受け入れる体勢になる。赤い舌が遠慮がちに、けれども明らかに期待に蠢く。隼人の舌先が號の唇の縁をなぞって、からかうように離れる。號の舌は隼人を追って、空回りした。
「——ぁ」
 號の唇が不満げに尖る。そこを隼人がついばむ。ふ、と零れかけた吐息は続く隼人のキスにかき消された。
「……っ、ん」
 突然の深い口づけに號の身体が強張る。開いた脚の間に隼人の身体が割り込んできて號を抱きしめた。
「……っふ、ん、んっ」
 背中を隼人の指が這っていく。火照り始めた肉体を焦らすように緩急をつけながら動く。號の身体が震える。その先の快感をすでに知っているからこそ、身体が勝手に求め始める。
「は、あ……っ」
 唇が離れて、熱い息がかかる近さで見つめ合う。いつもより互いの顔がはっきりと見える。睫毛の陰影も、紅潮した頬も、情念が灯った瞳の色も、くっきりとさらされていた。
「——じんさん」
 號が呼ぶ——呼んだと思ったが、もしかしたら胸の内にだけ響いた声だったかもしれない。唇は再び隼人の口づけで塞がれて、言葉も呼吸も奪われていく。號は溺れないようにキスの隙間から懸命に息を吸う。隼人はその呼吸さえもつかまえて口づけで覆う。
 キスの間にも、隼人の手は號の肌を滑る。幾度も情愛を交わすうちに植えつけられた快感が、隼人の指先によって次々と芽吹いていく。
「んっ、んっ」
 わかりやすく號が身をよじる。一方を庇えば、一方がガラ空きになる。そこを隼人の指が責め、煽る。號の肉体はふるふると小刻みに震えて、やがて波打ち始める。花が咲き零れていくように、内側から快感の塊が湧いて、溢れてくる。
 こうなったら、止まれない。
「じん、さん」
 隼人の唾液を口元から滴らせた號の表情にはすでに恍惚感が浮き出ていて、夢の世界をうっとりと漂っているかのようだった。
「じんさん、キス……」
 顔を傾け、下から隼人の唇をねだりに行く。快感に純粋な仕種は愛らしく、淫らだった。
「——號」
 隼人が覆い被さる。ふたりの欲を受けとめて、ベッドのスプリングが大きく軋んだ。

〈サンプルここまで〉