閾値比べ

新ゲ隼竜R18

つきあってます。
黙々とPCに向かう隼人に痺れを切らした竜馬がこたつの中で足コキを仕掛けるお話。
服の上からなので直接的な描写はほぼありませんが、最後にチラッと隼人のブツが出ますのでR18です。約4,600文字。pixivには気が向いたらあげます。
・こたつは竜馬がねだって隼人に買わせて、隼人の部屋に置いてもらってます。
・お正月期間の想定。
・竜馬は普段は靴下を穿いている設定で、こたつであったまって脱いでます。
・すけべ本番になだれ込む手前で終わっているので、ご容赦ください。
・「閾値」は「いきち」と読みます。人の感情とか状態が変化する刺激の境目の意味合いで使っています。

◆◆◆

 竜馬はこたつの天板に左頬をぺったりとつけ、90度横になった隼人の顔をぼんやり眺めていた。
 いつもスカしている隼人の顔は、横になったからとて変わらない。竜馬が遊びに来ているというのに視線はノートパソコンに固定されているし、室内には会話どころかキーボードの打鍵音しか生まれない。
「……なあ」
 こたつにあぶられ、芯が溶けたような竜馬の声があがる。対面の隼人は「ああ」とも「何だ」とも応えない。普段通りと言えばそうなのだが、世の中は正月だ。研究所の中もどこかのんびりとした空気が漂っているのに、目の前で黙々とノートパソコンに向かわれたらたまらなかった。
「何か面白えことしようぜ」
 三杯目のココアは飲み飽きてマグカップに半分も残っていたし、末端まで温まって靴下もとっくに脱ぎ捨てていた。
「なあ」
 トランプでもボードゲームでもいい。酒盛りなら歓迎だし、組み手ならもっと楽しい。おとなしく座っているのはあまり好きではないが、この際、映画鑑賞でもいい。所員に声をかければ、誰か何か貸してくれるだろう。渋る隼人を説得してこたつを買わせたというのに、これではつまらない。ただただ時間が過ぎるのを待つのは、のんびりとは違う。
「なあってば」
「もう少し待っていろ」
 ようやく隼人が口を開く。だが視線は目の前のデータに注がれたまま。竜馬の唇が尖る。
「もう少しってどんぐれえだよ」
「もう少しはもう少しだ」
 そう言って三十分後だったこともある。待ててあと五分——竜馬は口を尖らせたまま考える。こたつのおかげで身体は温かいが、却って眠ってしまいそうだった。
「……おめえが遊んでくれねえなら、勝手にさせてもらうわ」
 もそ、と竜馬の身体が揺れる。隼人は気にする素振りもなく、ノートパソコンをいじっている。
「……」
 もう一度、竜馬の身体が動く。こたつ布団の中で微かに衣擦れの音がした。
「……ふーん」
 何やら含んだ鼻声をあげ、竜馬が頭をもたげる。パソコン越しに上目遣いをやる。それでも隼人は無反応だった。
「そっちがその気なら」
 竜馬が両腕を天板に置き、姿勢を直す。さっきよりも大きく、もぞもぞと身体が揺れた。
「——」
 キーボードの打鍵音が途切れる。
「へへ」
 竜馬が得意気に小さく顎をしゃくった。
「俺よぉ」
 その声にも、にんまりとした響きが乗っていた。
「空手やってたろ」
 相槌はない。代わりに、再びカタカタとキーボードを打つ音が聞こえてきた。竜馬は構わず続ける。
「空手ってな、裸足でやるんだわ。踏ん張ったり、体重移動したり。だからな、足の指もすっげえ鍛えられるんだぜ」
「……っ!」
 また打鍵音が止まる。今度は息を呑む気配があった。竜馬の唇の端がくっと上がる。
「俺、器用なんだぜ」
 隼人の瞳がわずかに揺れている。竜馬はその動揺を見逃さなかった。
「こういうのはどうよ」
 衣擦れの音とともに、隼人の唇が真一文字に結ばれた。しかし先刻同様、キーボードが鳴り始める。リズムは落ち着いているようだった。
「……おめえも頑固だよな」
 竜馬があきれ顔になる。だがすぐに悪童めいた笑みが浮き上がってきた。
「ま、それはそれで面白えけど、な」
 竜馬の上体が小さく揺れる。こたつ布団の中では竜馬の右足が隼人の局部をこすり上げていた。
「もう硬くなってきてるじゃねえか」
 は、と竜馬が息を零す。愉悦の笑いと、徐々に迫り上がってくる興奮がもたらす吐息だった。
「すげ。ズボンの上からでも形がわかるぜ」
 自分で言うだけあって、確かに器用だった。最初は右足で優しくつつき、撫で、さする。頃合いを見計らって左足裏を添える。両の足裏で挟み込み、くにくにと刺激を与える。芯が出来上がってくるにつれ、少しずつこする力を強くしていく。指先はまるで手のように広がる。その足指で隼人の肉を包み、扇情的に揉み上げた。
「……っと」
 竜馬が上体を起こす。両手を床につき、やや後傾する。より姿勢が安定し、足先が自由になる。
「へへ」
 ジ、と微かに聞こえてくる。さすがに隼人がびくりと身をすくめた。
「ん、よ……っと」
 次第にジッパーが下りていく。隼人の手はキーボードを打とうとした形のまま止まっている。ジ、ジ、と等間隔でジッパーが鳴く。
「……どうする? もう下まで来ちまったぜ」
 右の親指と人差し指が布を掴んで引っ張る。隙間ができて——竜馬に不敵な笑みが浮かんだ。
 隼人は一瞬だけキッと竜馬を睨みつけ、何事もなかったように作業に戻った。
「へえ」
 竜馬が驚く。そこには感心の響きも含まれていた。
「俺とは遊べねえ……ってか」
 払い退けない。文句を言わない。こたつから出ていかない。竜馬の悪戯をあくまでも「ないもの」として扱い、反応しない。退屈しのぎにならないとわかれば諦めるだろうと高を括っている。
 つまり、竜馬を甘く見ている。
「ンなろ」
 竜馬が口の中でボヤいた。
 それなら、進むしかない。他愛のない我慢比べだろうと、勝負事なら負けたくはない。
 竜馬の爪先が侵入する。キーボードが打ち叩かれる音が大きくなり、速度が上がった。

 竜馬がぺろ、と舌舐めずりをする。身体が規則的に、小刻みに上下する。隼人の目と指はノートパソコンに一心に向かっていた。
 一見、集中している。だが実際は長い前髪の下には強張った表情が張りついていた。
 些細な変化も見逃さないよう、竜馬が凝視している。当然、その気配は伝わる。だから必死にこらえるし、竜馬にも隼人が意識を持っていかれないように抵抗しているのがわかった。
「なあ」
 竜馬が呼びかける。
 こたつの中で微細に動いていれば、うっすら汗もかく。溜息のように零れた声には熱が滲み出ていた。
「これ、すげえ濡れてるだろ?」
 指の腹が亀頭部分を押す。さすがにジッパーの隙間からだけではボクサーパンツまでは自由にできない。だから下着越しの刺激に留まる。それでも身体にフィットした薄い布地などあってないようなもので、竜馬の愛撫は十分に高揚をもたらしていた。
「ヌルヌルする」
 笑い混じりに投げる。もっとからかってやろうと竜馬の口が動く。次の瞬間、打鍵音が止んで、隼人の顔が竜馬に向けられた。
「————」
 ぞくりとした感覚が走り、竜馬はすべての動きを止めてしまった。
 半開きになった口が出かかった文句を紡ごうと微かに大きくなって、少し閉じ、再び開いて——結局、声にならなかった。
 隼人の目に、熱が浮いている。目だけではない。顔もうっすらと紅潮している。震える息をこらえるように吐き出しているせいで、肩が上下していた。
 はぁ、と薄い唇から息が落ちる。触れなくても、竜馬にはその熱さがわかった。
「——ぁ」
 ぞく、とまた竜馬の中で蠢く。
 本気の目だった。
 見つめられ、動けない。はやぶさの鉤爪に捕まった雛鳥さながらに硬直してしまう。
 隼人の鋭い視線は皮膚を圧迫し、じりじりと焼き、やがては突き抜けて竜馬の中に熱の種を植えつけていく。視線が肉に食い込むほどに種がはじけ、発芽する。身体のあちこちで隼人の熱が灯り、流れ、次第に体内の深いところ目掛けて集まってくる。
 このままではまずい。仕掛けた側が喰われるなんて冗談じゃない——。
 咄嗟に脚を引き戻そうとする。それより一瞬速く、左の足首を掴まれた。
「————ッ」
 皮膚の上にぞくりとした感覚が生まれた。気持ち悪さや怖気おぞけではなく、隼人の指に撫でられ、くすぐられて湧き上がる快感だった。
 今までキーボードを叩いていた指がズボンの裾から忍び入ってくる。
「あ……っ、あ」
 隙をつかれ、不意に弱々しい声があがる。まるでか細い喘ぎ声だった。到底自分のものとは思えず、竜馬の顔に羞恥の色がのぼっていく。
 指がふくらはぎを撫で上げる。その場所だけではなく、腰の奥までもがざわりと撫でられたようだった。
「……っん!」
 逃れようと脚を引く。だが隼人の左手が足首をがちりと掴んでいた。
「放……せ、てめ、この」
 ならばと足指を反らす。指の付け根部分で思い切り蹴り込もうとしたが、またしても隼人が先んじる。右手で竜馬の足先を包み、押し返しては攻撃を封じてしまった。
 それどころか。
「ひあっ⁉︎」
 竜馬の身体がびくんと跳ねる。隼人の指が竜馬の足指を撫ですさり、股の部分に割り入ってきた。
「あっ、んあっ」
 思わず顎が上がる。隼人は竜馬の足指を一本ずつ、陰茎をなぶるようにこすっていく。皮膚が薄い指の股をくすぐられると、そこからぞわぞわとした感覚が這い上がってきて、身体の中心に溜まっていく。
 これ以上は、本当にまずい。
 竜馬は力いっぱい脚を引いた。瞬間、隼人が手を放す。枷のなくなった脚が勢いよく跳ね上がり、膝頭がヒーターにぶつかった。天板が揺れ、マグカップに残っていたココアに波が立つ。
「——っぇ!」
 竜馬が顔をしかめる。わずかな時間であったが、完全に気が逸れる。
「……くそ、てめえのせい——」
 気づいたときには遅かった。
 隼人の顔がすぐそこにあった。竜馬が息を呑む。
 ギラついた瞳が竜馬を刺す。込み上げるものを抑える気は微塵もない。竜馬の中に溶け込んだ隼人の熱が呼応するかのようにふつ・・、と沸き立つ。
「……っ」
 竜馬が震える。肉体は隼人に与えられる快感を知っている。頭で考えるよりも先に、竜馬の身体は予感と期待に満ちて官能の先触れを感じていた。
「……そんなに、俺に遊んで欲しいか」
 低く、熱のこもった声が竜馬の耳の縁を舐める。
「竜馬」
 息がかかる。その熱さに、竜馬の視界がくらりと揺れた。
「お前が誘ってきたんだからな」
 カチャ、と軽い金属音があがる。竜馬がそろそろと視線を落とすと、ベルトの金具が外されていた。ズボンの前がはだけられて、張り詰めた隼人のそこが目に飛び込んでくる。
「……あ」
「お前のせいだぞ」
 膨らみの先は濡れて、布地の色が濃くなっている。どく、と竜馬の鼓動が大きく跳ねた。
「……ぁ、は」
 急速に口の中が乾いていく。
「りょうま」
 隼人の唇が、目の前でにやりと笑う。身体の奥に集まったぞくぞくとした感覚が、今度は一斉に逆流してきて、竜馬の身体の隅々までに広がっていく。操られるように、竜馬は手を伸ばす。
 触れると、隼人の目元が切なげに歪んだ。滲んだ色気が零れ落ちるようで、竜馬は唾を飲み込む。
「……はやと」
 指の腹で二、三度膨らみを撫でる。足先で触れたときよりも存在感を増している。竜馬はボクサーパンツの縁を引っ張り、硬くなったそれを剥き出しにして——こすり始める。すぐに鈴口から熱が溢れ出して、竜馬の指先にまとわりついた。
「……ああ、遊んでくれよ」
 いつの間にか、呼吸のたびに竜馬の肩も上下していた。吐息は隼人と同じくらいに熱くなっていた。
「おめえの気が済むまで……遊ぼうぜ」
 目の裏が熱い。喉の奥も、肺の中も、腹の底も、身体の内側が全部熱い。隼人がこたつ布団をめくり上げる。普通なら熱気は逃げていく。けれども身体は熱いままだった。
 隼人の手が太腿に触れてくる。もっと熱くなる。茹で上がっちまいそう、と頭の隅で思ったのも束の間、隼人の熱い舌が口の中に滑り込んできて、竜馬はひと息の猶予もなく熱の渦に呑み込まれていった。