軽目ですが性行為描写があります。挿入には至ってません。
三人でお酒を飲んでのんびりまったりしてたら、隼人が盛って竜馬をいじり始めたので弁慶も参戦。全員あたまゆるい。ふたりにとって、竜馬は可愛い存在なんです。約1,500文字。2021/1/1
※よい子の皆さんはいたずらに人にハイムリック法を試さないでください。
◆◆◆
正月は祝いたい。日本人だもの。
珍しく、しかも意外なところで意見が一致した。
幸い敵襲の気配はまったくない。ゲッターチームの三人は弁慶の部屋に集まり、酒盛りを始めた。彼のこだわりで簡易式ではあったが畳が敷かれ、くつろげるからだった。
最初こそいざという時のためにちびちびと呑んでいたが、すぐに「きっと鬼も正月休みだろう」と決め込み、三人は自分のペースで酒をあおり出していた。
「餅はねえのかよ」
竜馬が訊くと、弁慶は得意げに傍らの風呂敷包みを解いた。
「さすがにつきたてとはいかないが、気分が大事だろう?」
個包装された市販の切り餅が転がり出てきた。
「いいじゃねえか。トースターあったよな?」
「ああ、アルミホイルもある」
「おあつらえ向きじゃねえか」
竜馬はいそいそとトースターに向かう。
「とりあえず、置けるだけ置こうぜ」
弁慶と手分けして餅を取り出し、並べた。
餅が焼けるまでの間、ぐずぐずと目的のない会話が流れては消える。その中でふと、
「そういや、餅を喉に詰まらせたらどうすりゃいいンだっけ」
竜馬が訊ねた。
「背中を叩くか、掃除機という手もあるな」弁慶が言うと「腹部を圧迫して気管内から除去する方法もある」と隼人が繋いだ。
「え、それ、腹を押すのか?」
竜馬が嫌そうな顔をする。
「ハイムリック法という」
隼人がおもむろに竜馬の背後に居ざり寄る。
「こう、するんだ」
座位のまま竜馬の身体を跨いで背中から抱きつく。鳩尾の下に拳を当て、もう片方の手でその拳を上部に押し上げる。
手加減されているとはいえ腹部を急に圧迫され、竜馬は「ンぐっ」と妙な声を出した。
「吐くなよ」
弁慶が笑い、竜馬は「うるせえ」と毒づいた。
それから、違和感に気づく。
「おい隼人」
ぴったり寄り添ったまま、離れない。
「……おい」
いい加減にしろ、と怒鳴る寸前。
ぐい、と腰が入れられて下半身がより密着する。
「ちょ、おい、隼人!」
竜馬は抗議の声をあげる——と「ひゃうっ」と場違いな叫びに変わった。
「何し、てっ?」
隼人は竜馬にがっちりとしがみつき、唇でうなじを啄んでいる。
「あっ、やめっ……ンんッ」
鼻にかかった竜馬の声はやけに扇情的で、隼人は吐息を漏らす。それが竜馬の首筋を伝い、もっと過敏にさせていく。隼人は時折、吸い、舐める。
「あっ——あ、ン、ふっ」
竜馬の身体は小刻みに反応する。隼人はタンクトップの下に手を差し入れた。指が容赦なく這い上がり、乳首を弄ぶ。
「ひっ——」
竜馬が仰反る。
その正面に、弁慶が陣取った。
「何だよ、楽しそうじゃないか。俺も混ぜてくれよ」
言うなり、両手で竜馬の顔を挟み込み、口づける。
「ンうっ」
驚愕に目が見開かれる。「この野郎」と言わんばかりに大男の胸元を拳で叩くが、この状態ではいかに竜馬であっても力がこもらない。すぐに口腔内を舌で蹂躙され、拳が止む。
「ン、ンんッ」
竜馬は非難か悦びか区別のつかない声で鳴く。唇からは混じり合った唾液が溢れた。
「はあっ、……竜馬」
弁慶が分厚い舌で竜馬の顎から唾液を舐め上げる。そのまま、今度は耳をねぶり出す。
「ひゃ——、あ、ああっ」
竜馬の身体が跳ねる。だが隼人は解放を許さず、性感を責め立てる。弁慶の指が、その太さに似合わず器用に滑り、竜馬のズボンを剥ぎ取った。
「竜馬、俺たちにお年玉くれよな」
にかりと笑い、弁慶は遠慮することなくボクサーパンツに手を伸ばす。
「ンはッ、あっ——あ、や……」
竜馬は子供がイヤイヤをするように首を振る。
「な……ンだ、よ……ンッ、お前……ら」
瞳は熱に潤み、焦点が定まらない。肌は上気し、身体はひくひくといやらしく細かな痙攣を繰り返している。
その姿態は酒に酔った男ふたりの最後の箍を外す。
トースターの中で膨らみきって割れた餅の音は、誰の耳にも聞こえなかった——。