【閲覧注意】
つきあってません。
鬼畜隼人が竜馬を襲うお話。約3,000文字。挿入なし。
・竜馬が箸で食べ物を刺したり、口にものを入れたまま喋るちょっとお行儀が悪いシーンがあります。
・竜馬が隼人を煽って返り討ちに遭うパターンです。
・隼人は抵抗する竜馬に頭突きされて鼻血を出します。
・竜馬が首を絞められ、落とされる直前になるという描写があります。
・隼人がいきり立ったブツを竜馬の口に押しつけます。
・基本的に隼人の感情描写がほとんどない、かつふたりの距離が縮まっていない状態なので、もしかしたら『毒と衝動』よりも鬼畜度高めかも。
5年前に書いたお話を加筆修正しました。今のところ個人サイトでのみ公開の予定です。
◆◆◆
食堂が混み合っているので、隼人に選択肢はなかった。
「弁慶、おめえ、さっきも食ってたろ」
「さっきじゃねえ。二時間も前だ」
「それはさっひって言ふンは」
「お前、口に食い物入ったまま喋んなよ」
「うるへえ!」
片方だけでも大概なのに、ふたり揃えば騒々しいことこのうえない。それがずっと隼人の目の前で繰り広げられている。時折横目で探してみるが、どの席も空きそうになかった。
とうとう隼人は席を立つ。竜馬が箸を止めた。
「もう食わねえのかよ」
お前のせいで食欲が失せた、とは言わず睨みつける——竜馬には効果がないとわかっていても。
「……ああ」
「じゃあよ」
竜馬が立ち上がる。
「その唐揚げくれよ」
返事を待たず手を伸ばし、皿を引ったくる。座ると同時に一番大きな唐揚げに箸を突き立て、かぶりつく。横から弁慶が「おい」と声をかけた。
「竜馬」
「ふぁ?」
「ふぁ、じゃねえよ。箸を刺すなよ、行儀悪い」
「ほーひふはっへ。ほひ」
「あ? お前、唐揚げ一個で俺を黙らせようってか」
「ひはへえほは」
「いや、いる」
そのやりとりを、隼人はじっと見ていた。
「はンはほ」
竜馬が二個目の唐揚げを頬張りながら訊ねる。しかし隼人は眉ひとつ動かさず、竜馬の顔を見つめる。
「……あンだよ」
肉を飲み込んで、竜馬が改めて訊く。それでも隼人は何も言わない。竜馬は唇についた脂をぺろりと舐め、目つきを尖らせた。
「さっきから人の顔ジロジロ見やがって。何か文句あっか」
「——いいや」
ひと言だけ答え、隼人は背を向けた。
「……変なヤツ」
竜馬は残りひとつとなった唐揚げを口に放り込み、遠ざかる隼人の背中を胡乱げに見送った。
「……そうは言ってもだなあ」
隼人の姿が見えなくなると、弁慶が言った。
「あいつ、頭は切れるからな」
「あ? 別に頭の良い悪いは関係ねえだろ」
「いやいや。同じ『変なヤツ』でも、頭の出来がいいほうがマシだろうが」
「てめえ、それ俺が頭の出来が悪ぃってンのかよ」
「別にお前のことを言ったわけじゃねえよ。それで言うなら、隼人はお前よりは常識があるぞ」
弁慶の遠慮のない言葉に、竜馬の鼻の頭にしわが寄った。
「——うるせえな。てめえに常識どうのこうの言われたかねえわ、このスケベ坊主」
そう毒づいて、竜馬は口いっぱいに白飯をかき込んだ。
風呂にも入り、あとはストレッチをして寝るだけだった。リラックスしたひとりの時間と空間に、隼人が突如、緊張を伴って割り込んできた。
竜馬は不機嫌さを隠そうともせず——むしろ見せつけるように——顔をしかめ、まだ水気が残っている頭をガリガリとかいた。
「ったく」
隼人の来訪は唐揚げの恨み言だと思っていた。だから竜馬は「もう食わねえのかよって訊いたじゃねえか」と先に切り出した。だが隼人の反応はない。
「……そんじゃあ、夕方の訓練のことかよ」
いつもの如く、竜馬が先走る。隼人が制止する。弁慶が怒鳴る——竜馬が言い返す。幾度も繰り返した挙げ句、早乙女博士のあきれと苛立ちがこもった注意が飛ぶ。しかし、それだって。
「おめえ、散々俺に説教してったろ。あれでもまだ足りねえってのかよ」
ゲットマシンを降りた直後、隼人がまっすぐに詰め寄ってきた。生返事であしらおうとした竜馬の逃げ道を塞ぎ、言いたい放題だった。おかげで唐揚げをせしめたちょっとしたラッキーさは、最悪な気分と入れ替わってしまった。
それでも夕食に好きなメニューを食べ、大浴場で足を伸ばしたおかげで、すっきりした気分になれた——はずだったのに。
「おい、隼人」
隼人は何も答えない。部屋に入ってきたときの姿勢と表情のまま、ドアの前に立っている。
チ、と竜馬から舌打ちが漏れる。
「……おめえ、いつもスカしてンな」
ムカつく、と吐き捨てる。
「だいたいよぉ、おめえ、俺のこと気にしすぎだろ。ゲッター動かしてる間もいちいちああだこうだ偉そうに指図してきやがって。ンなのジジイだけで腹いっぱいだっつうの。そんなに気になるンだったら自分で——」
「よく回る口だな」
隼人の声がかぶさる。ようやく発せられた言葉は、竜馬の神経を的確に逆撫でするものだった。
「あ゛?」
竜馬が一歩、前に出る。
「よく回る口だなと言った」
「聞こえてらあ。てめえ、どういうつもりだ」
竜馬の足がもう一歩、進む。
隼人はフン、と鼻で笑い、
「次から次へとよくもまあ、べらべらと出てくるな」
と、煽った。竜馬は目を細め、隼人を値踏みするように眺め回す。
「へえ。ずっとダンマリで、とうとう口も利けなくなったかと心配しちまったぜ」
ニヤリと笑い、また一歩、隼人に近づく。
「俺がべらべら喋る野郎だとわかってて——わざわざ何しに来たンだよ。まさか、口喧嘩でもしようってのか。それとも」
互いの体温をうっすらと感じるほどに迫る。
「この俺の口を塞ぎに来たってンじゃねえよな」
「そうだと言ったら?」
「ハッ、どうやって。まさか、口いっぱいに唐揚げでも突っ込むってか」
「それも悪くない」
「ケッ、言ってろ。っつうかよ、やれるモンならやってみろってンだ——」
言い終わる前に隼人の胸ぐらを掴む——だが、放り投げられたのは竜馬のほうだった。
「っ、てめえ!」
回る視界の中、隼人が飛び掛かってきたのが見えた。
幸い、着地点はベッドだった。安物とはいえスプリングの効いたマットのおかげでダメージはない。その代わり、硬い床や壁と違って次の手を繰り出すための反動はつけられない。それでも、通常の人間よりは遥かに速いスピードで竜馬が反撃に出る。
隼人は外から頭部を狙ってきた右脚を左腕でガードする。すぐさま右拳を竜馬の顔面に放つ。竜馬は肩をねじり、顔面強打を躱す。勢いをつけて上体を起こし、馬乗りになった隼人に頭突きをする。
「——ッ!」
隼人の顎が跳ね上がる。そこに追撃の拳を打ち込もうとしたときだった。
「フッ」
頭上から不敵な笑い声が落ちてきた。竜馬の拳が止まる。
「……てめえ、何が可笑しい」
ゆっくりと隼人の顔が下を向く。
その形のいい鼻から血が垂れてきた。
「可笑しいから、笑っている」
上唇に伝ってきた鼻血をべろりと舐め——隼人が全体重をかける。
「クソッ! はやっ、てめ——ぐっ」
スプリングがギィギィと悲鳴をあげる。
隼人は手に力を込める。竜馬の首を絞め、声を奪う。もがく竜馬を嘲るように見下ろし——その唇をも奪う。
「————っ」
ひく、と竜馬の身体が跳ねる。
「ン、ンんっ……」
竜馬の意識が遠のく。落ちる寸前で隼人は身体を離した。
「…………か、はっ……ぐ、げえっ」
堰き止められていた血と酸素が、竜馬の体内を巡り出す。
「げほっ……、ゔ、ぐ」
悶える竜馬を一瞥する。隼人の頬が愉悦に引き攣った。
「……竜馬ァ」
粘ついた隼人の声が、竜馬の耳に絡みつく。
「『やれるモンならやってみろ』……か」
まだ乾ききっていない黒髪を引っ掴み、上を向かせる。激しく咳き込んだせいで滲み出た涙が零れる。その鳶色の瞳が、驚愕と憤りにまみれているのがわかった。
くひ、と隼人の喉奥から嗤いが漏れた。
「しゃぶれよ」
竜馬の眼前にいきり立ったペニスを突き出す。
「……っ」
「お前の口は煩いうえに、いやらしい。塞いでやるよ」
口元に肉棒を押しつける。唾液と隼人の血で濡れている唇が、先走りを塗りたくられてさらに汚れていく。
「——クッ、ククッ」
酷薄な光を湛えた隼人の瞳が、湧き上がる恍惚を浴びてぐにりと歪んだ。
